『臨床美術(クリニカルアート)』は創作活動を通して「自分らしく表現する喜び」、「日々の自分や相手を大切に感じられる心」が得られるものです。高齢化が急速に進む現在、高齢者が「より良く生きる」ための活動の選択肢の一つとして紹介していくだけではなく、あらゆる世代、様々な現場に普及することを目的として、この事業に取り組んできました。
事業年度中、一般向け臨床美術体験講座を5回開催し、延べ106名の方が参加されました。また、養護教諭に向けての臨床美術の紹介、福祉関連施設での臨床美術講座等を実施、臨床美術協会副理事の関根一夫氏をお招きしての公開講演会も開催しました。
また、一般の方だけでなく行政や医療、教育現場への普及を目指して活動を紹介するパンフレットを作成しました。
一般向け臨床美術体験講座では、毎回高齢者の方がご参加下さり、「自分なりの自由な発想で思いのまま表現できるのが良い」、「心が穏やかになる」等の感想を沢山いただいています。来年度も体験講座を定期的に開催していきたいと考えています。
3月に開催した関根一夫氏による存在論的人間観をテーマとした講演会では、「『いてくれてありがとう』の気持ちを大切にしたい」、「今後いかに生きていくかを考えさせられた」等の感想が寄せられています。
今年度の事業を通して、様々な現場に携わる方々に、日々の心の持ちようや臨床美術の理解を広めることができたと感じています。