聴覚障害の発見は、その時期が早いほど、その後の言語獲得や社会性の成長などに良い効果を与えるとされます。山形県内の「新生児聴覚スクリーニング検査」では、「要再検査(リファー)」の対象となった新生児と保護者に対する情報提供やフォロー体制の周知は、十分であるとは言えない状況です。私たちは、その問題を改善する事業として、「早期療育開始」に繋がる体制の構築を提案し、検査に関する正確な清報の提供と療育の重要性に関する認知の向上が期待できる配布物(リーフレット・パンフレット)を作成しました。
リーフレットは、山形大学医学部耳鼻科の欠畑教授に全面監修を受け、医療機関でも使用可能な内容とし、また、パンフレットは、聴覚障害児の親の立場の経験談などを記載し、療育を始める親子の支援となる内容として完成し、各5,000部を作成しました。 県内の医療機関や市内の公共施設等(計130か所以上)に配布し、各施設の担当者への周知活動を行いました。中でも、県のリファー児情報を管轄する保健所(村山・置賜・最上・庄内)の担当者から直接、理解・協力を得られたことは、特に大きな成果です。難聴児の早期療育と家族の早期支援の重要性について、保育現場にいる保健師の意識共有を促すとともに、乳幼児の家庭訪問時にも活用していただけるようになりました。 今後は、検査後の情報を把握する各自治体の連携を推進する「早期療育 連絡組織」の設立に向けた提案等を行っていきたいと考えています。