近年、若い世代の活字離れが進んでいると言われています。とはいえ、実際に若い世代と関わっていると、それらは彼らに活字文化(異文化、他者)への関心がないからでは決してなく、関心はあるが何から始めてよいかわからないからだということがわかります。そこで私たちは、若い世代が活字文化にもっと気軽に触れられるように、山形の人びとにとって敷居の低いテーマである「やまがた」つながりの文献――山形在住・出身あるいは山形を題材にした作家や批評家、研究者などの著作――をまとめて紹介する情報誌『ヤマガタ発:山形発・活字文化入門ブックガイド1999-2009』(A5判、96頁、500部)を作成しました。
山形発の活字文化に触れてみたいという8人の若年市民が集まり、2009年7月から2010年2月まで合計11回の編集会議を開きました。会議では、条件に該当する文献やそれに関する情報をあちこちから集めてきて、そこから掲載文献を選び出し、片っ端から手分けして読み、それぞれの紹介文を書き、その内容を精査し、という手順で、ブックガイド制作を進めていきました。読書習慣のない者が大半でしたが、編集作業の過程を通じて、それまで知らなかった山形発の文化を知り、改めて自分たちの地域の面白さに気づくことができたという感想が多く得られました。ブックガイドを手にした人びとにも、同じ気づきが生じるものと思われます。引き続き、読書活動や活字文化を通じた学びを続けていく予定です。