子ども食堂は山形市内にも多く見られるようになったが、大人と子どもの狭間にいて、さまざまな支援や制度からこぼれ落ちてしまっているのが「困窮する女子大学生」の存在だ。実家からの仕送りもなく、アルバイト代と少額の奨学金だけでぎりぎりの生活をしている学生がこの山形にも多く存在している。また、女性の進学に関して「必要ない」と考えている親世代もまだ存在し、男きょうだいの学歴にのみ投資する家族の中で、自力で何とか進学してきた人の話も聞く。
そこで月に一度、山形市内の女子学生たちが集って一緒に晩御飯を作って食べる機会を設け、食費の心配なくお腹一杯食べられる場を作る事業を開催した。同時にコロナ過で失われていた地域の人々や多様な人々とのつながりを取り戻す機会をつくり、孤独や不安を解消できる場を作った。
事業でつながった学生の中には、きょうだいの就職を機に急に奨学金を打ち切られ、学費を払えなくなる危機に直面した人もいた。また、離れて暮らす両親が病気がちで、帰省するたびに家族のケアに翻弄されている学生もいる。月一回のごはん会は、精神的なつながりや安心感を得られる場にはなったが、困窮する学生たちの「根本的な解決」には至っていない。数年後に社会に出る彼女たちが問題意識を忘れることなく、今度は支援する側に回ってもらえたらと思う。