国の指定史跡であるの霞城公園は誰もが知る、山形を代表する景観美あふれる史跡公園です。特に春の桜は平成3年に復元された東大手門とのコントラストと相まって、まさに「絶景」ともいえる風景を、毎年多くの市民に提供しています。
平成23年度より当団体の事業としてスタートした「山形の四季」の2年度目として、この「春景色」をテーマに取り上げました。
斯波兼頼が延文2年(1357)に築城したと伝えられている霞ヶ城を本拠とした最上氏は、最上義光の時代に絶頂を迎え、57万石を有する国内有数の大大名となりました。戦国きっての武将・最上義光は、その武勇・武勲がクローズアップされる機会は多く見られますが、「歌人」としてもすぐれた才覚を発揮しました。その数ある秀作の中から、連歌の「誰もただ花に心や浮かるらん 出(い)で入りしげき九重の春」 をイメージテーマに、天然記念物の霞城の桜と、いにしえの戦国武将にはせる想いを、近年、ますます気鋭の活躍が注目される日本画家・中村哲叡(なかむらてつえい)氏の筆により、歴史と自然が融合した景観美を表現する絵画にしました。それをこの風景を臨む位置・東大手門に隣接する場所に設置することで、文化価値の高い「まちなみづくり」に貢献することを本旨とし、本事業を実施しました。
この連歌の意味は『誰もが花に浮かれて、たくさんの人が行き交う。都はまさに爛漫の春』となります。この歌意の様な活気あるまちづくりに、より多くの人々が関心を寄せていただければ、と願うとともに、観桜の「ベスト・ビュー」をオフシーズンにも髣髴させ、豊かな自然とともに、価値ある歴史と伝統の山形の街並みの発信に貢献できれば事業の本懐と考えています。